中国メーカーなんて製品コピーするだけとか、安かろう悪かろうでやっぱり日本企業の製品の方がいいはずだとまだ思っていませんか?
そんなのんきなことを言っているうちに実は中国メーカーの実力はかなりのレベルになってきています。
なぜなら部品は日本や欧米の一流メーカーと同メーカーのものを使ってるし、なにより後発の強みとして投資する設備が新しいので生産効率はかなり高くなっています。自動化、省人化されることで品質も安定してきています。
私は日本で大手重機メーカーで20年間油圧ショベルの設計に従事してきました。また中国の企業での経験もありますので、日本の内外の両面からの視点で見ることができます。
この記事では、建機メーカーの世界大手と中国の代表的なメーカーの製造ラインをご紹介していきます。
この記事を読むと中国建機メーカーの現状がわかるとともに世界大手メーカーとのレベルの差が詰まってきていることを感じることができます。
一番最後の中国メーカーの映像は必見です。絶対に度肝抜かれます。
油圧ショベルの製品品質
日本メーカーと中国メーカーの製品レベル
油圧ショベルといえば大きな製品なので、なかなか自動化や省人化のイメージがつきにくいかも知れません。ですが、実は最近後発の中国メーカーの成長が著しく日本メーカーの立場も危ういと思っています。
製品自体の品質でいうとキーコンポーネントは世界大手メーカーと同メーカー品を採用してきていますし、それ以外の部品や構造物については世界大手メーカーも逆にコストダウンのために新興国での生産をしています。もはやその違いを探すのが簡単ではなくなってきている状況です。
各重機メーカーの生産ライン
欧米メーカーの生産ライン
建機総合メーカーNo.1といえばキャタピラー社ですね。生産ラインを下記動画で見てみましょう。
設備がきれいに整っていますね。ですが内容というよりは、ヘルメット無しで作業しているのが気になって仕方なかったです。
こちらはリープヘルの工場です。
意外に伝統的な作業方法ですね。ブームの内部溶接作業を見てください、人が狭いブームの中に潜ってますね。高い品質要求に対応するのも大変です。
日本メーカーの生産ライン
日本を代表する建機総合メーカーのコマツです。
組立工程がメインの動画ですが、組立の一連の流れがとても分かりやすいです。
上部旋回体と下部走行体の上下ドッキングがめちゃスムーズですね。あとバケットの取り付けもリフター使用でスムーズでした。さすがコマツ。
続いて、日立建機です。
溶接工程や塗装工程の設備が割とキレイなのはオランダの工場の映像ですね。
旋回輪ギヤへのグリス充填が人がやってましたね。。上部旋回体と下部走行体の上下ドッキングやバケットの取り付けが、先程のコマツとは違い作業者の技術が求められるように見えましたね。
下の映像は後半にコベルコ建機の工場が紹介されています。
下部走行体の履帯の巻き付けもロボットで対応してますね。
中国メーカーの生産ライン
ここからは中国メーカーの生産ラインをみていきましょう。彼らの実力はどれほどのものなのか皆さんの目で確かめてあげてください。
まずは販売台数中国No.1、2020年に時価総額でコマツを超えた三一重工です。
工場の生産能力はなんと年間4万台とのこと。
溶接ロボやマシニングセンターは当たり前のこと、組立設備も日本メーカーを参考にライン設計されてますね。物流はAGV活用が当たり前になってきてますね。
トラックローラーが手締め作業だったりと未だ人手に頼っているところもちらほら見受けられましたね。
続いては中国建機メーカーの中では老舗の徐工集団(XCMG)。三一重工に続く販売量です。油圧ショベルでは700tクラスの超大型ショベルをラインナップしています。
生産工場を見てみると、かなりロボット化が進んでますね。溶接ラインに人がいない。。
そして最後は中連重科(zoomlion)です。
ここは正直度肝抜かれました。板切り、圧延、溶接はもちろんロボット、ハンドリング、搬送に至るまで自動化されています。構内物流はAGV、倉庫の荷捌も搬送ロボ。フォークリフトが見当たらない。。
塗装ラインもロボットですよ。もうとても重機の生産工場には見えない。。
まとめ
いかがでしたでしょうか。イメージ変わったのではないでしょうか?これでもまだ暢気にどうせ中国でしょ?なんて言ってますか?
中国建機メーカーが後発の強みを生かし、新しい設備を投入しどんどん生産効率化を図ってきている。さらに中国も国家として製造大国へのスローガンをかかえバックアップしていることもあり、この流れは止まらないであろう。実際に今回ご紹介した中国建機メーカーの現状にはかなり衝撃を受けました。近い将来どころか、その日は近いと危機感を感じずにはいられません。日本建機メーカーも国内工場の操業を続けるのであれば、少子化の流れもあり今後は省人化・無人化への投資をせざるを得ないと感じておりますが、その投資が可能なのかどうかが肝になります。半面、自動化が進むと差別化が難しくなるんじゃないかとも感じています。
引き続き今後の動向を観察していきましょう。
今回は油圧ショベルの生産に注目した内容でしたが、研究・開発という部分では日本・欧米にまだ分があるのでセグメントや販売地域での差別化を図る等の営業戦略もキーになりそうですね。
本ブログでは今回ご紹介した重機の中でも代表格である油圧ショベルについて詳しく掲載しているので興味があればご覧になってください↓↓↓
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