重機の仕組みを分かりやすく説明 これであなたもショベル博士

重機とは

重機の代表格である油圧ショベル。
大きいし沢山の部品でできていて色々な動きができる機械。
そんな機械の動く仕組みなんて難しくて全然理解できないんじゃないかと思ってませんか?

実は基本的な役割や構造であれば誰でも理解できるくらい意外と簡単に説明することができます。

なぜならほとんどが人間の体に例えて説明することができるからです。

私は大手重機メーカーで20年間油圧ショベルの設計に従事してきました。どんな部品を使っているか、どんな仕組みなのかを理解しております。

この記事では油圧ショベルの設計者が油圧ショベルの仕組みをわかりやすく説明します。

この記事を読むと油圧ショベルの基本的な仕組みを簡単に理解できて他の人にも説明してあげることができちゃいます。

結論は、走る部位、回る部位、仕事をする部位に大別でき、パワーを伝達する部位は筋肉や関節と言うように、より身近なもので理解できるようになり更に愛着が湧いてくること間違いなしです。

油圧ショベルとは

基本はシンプル

油圧ショベルはたくさんの部品が集まってできる機械ですが、基本的な仕組みや構造であれば誰でも簡単に理解することができます。
それは人体など身近なものに例えてそれぞれの役割を理解するということです。

なぜなら

世の中の多くのものは人や自然界の動物や昆虫などにヒントを得て具現化させている製品がたくさんあります。
例えば自動車。自動車は馬車をモデルに開発されたと言われています。馬車の荷台には車輪がつき、動力は馬ですね。
また工場の中で使われる産業用ロボットは人がやっていた作業を代替するために人の動きを再現しようと部分的に人体をモデルにしています。


ショベルでいうと仕事をする腕の部分は人間の腕で例えられます。メーカーの人だけではなく、オペレーター(運転手)さんも機械の動作を説明する時に自分の腕と手を使って説明するのは業界あるあるです。

身近なもので考えてみる

基本機能を考える

ではまず下記の油圧ショベルの説明図をご覧ください。
本当に色々な部品が使われています。

コベルコ建機より抜粋

しかし、油圧ショベルの基本の機能を考えるとシンプルに考えることができます。
油圧ショベルの基本機能とは何か?

  • (土砂などを)掘ることができる
  • 移動することができる
  • 向きを変えることができる

全ては上記の基本機能を実現するように考えられています。

掘ることができる

まずは「掘ることができる」ですが、油圧ショベルで掘る仕事をするのはバケットと呼ばれる部分です。ちょうど人のに相当する部分です。そこにブームやアームと呼ばれる部分を組み合わせることにより遠くも近くも高い位置や低い位置も届くし、平らに動かすこともできます。
ブームやアームは人でいうと上腕と前腕に相当します。
腕や手を動かすために油圧シリンダと呼ばれる部品があります。これは筋肉に相当します。
筋肉は伸びたり縮んだりすることで手や腕を動かしますが、油圧シリンダも同じように伸び縮みの動きをします。

移動することができる

油圧ショベルで移動する仕事をするのはトラックと呼ばれる下部走行体です。
無限軌道が回転することで前後に移動することができます。
この無限軌道のことを履帯、クローラー、トラックベルトやキャタピラーなどと呼びます。
この下部走行体を人体の足に例えるには少々無理があるので自転車をイメージしてもらうといいと思います。
自転車が前に進むためにはペダルをこいでチェーンホイールを回転させます。
フリーホイールやチェーンはチェーンホイールにつられて回されているだけです。
あくまで回転力を発生させているのはチェーンホイールです。
油圧ショベルでチェーンホイールに相当するのが走行装置です。
チェーンが履帯に相当し、フリーホイールはアイドラーに相当します。

向きを変えることができる

油圧ショベルはくるくると回り360°向きを変えることができます。この回転をさせているのが旋回装置と旋回ベアリングと呼ばれるものです。人体のに相当するといっても良い部位です。
360°回転可能な変態級な腰です。
旋回ベアリングは下部走行体と上半身に相当する上部旋回体にそれぞれ固定されており、旋回装置で発生させた回転力で旋回ベアリングが回します。これにより上部旋回体がグルグルと回転可能となります。旋回ベアリングはこのハンドスピナー(下写真)を想像すると良いと思います。内側が下部走行体に固定され、外側が上部旋回体に固定されます。内側を持って(固定して)クルッと回す感じですね。

パワーの源

そして今まで説明した仕事をする筋肉を動かすパワーの源が油圧です。

高圧のを送り、油圧シリンダーを伸び縮みさせたり、走行装置や旋回装置に取り付けられているモーターを回転させます。人間でいうと血液に相当しますね。筋肉は血液を送ることで伸び縮みします。そしてその血液を送る心臓油圧ポンプです。油圧ポンプは動力源のエンジンに接続されています。

大まかにはこんな感じですが、あとはポンプから送られる油を手に送ったり足に送ったりと分配する役割を果たすのがコントロールバルブと呼ばれるものです。ちょうど人体の心臓の弁に相当するものです。弁=バルブですね。さらに運転室にはどこを動かすか命令を出す操作レバーやコンピューターがあります。これは人間の脳ですね。残りは補助的なものになりますが、火照った体を冷やすラジエータ、冷却ファンと呼ばれる扇風機が付いています。胃袋に相当する燃料タンク、血液を浄化する腎臓に相当する作動油タンクなどがあります。綺麗な空気を吸うためのマスクの役割をするエアクリーナー。マフラーはうるさいオナラを若干やわらげてくれるパンツのようなものでしょうか。(やや無理やりですね)

KYB、いすず自動車、川崎重工、末吉工業、東京ラジエータ、LAYTON REMAPS

このように油圧ショベルの基本機能を考え、それぞれの部位を身近なものに置き換えて考えることで仕組みが簡単に理解できます。
こうして考えるとあの複雑な機械がとても身近な存在に思えてきませんか?今までより愛着が湧いてきたと思います。

まとめ

油圧ショベルは人体など身近なもので考えるとそれぞれの部品の役割をわかりやすく理解できる。

法の規制や技術の進歩により自動車と同様に電動化が進められてきているので油圧モーターが電動モーターに変わったり、マフラーが排気ガスの後処理装置になり違う機能を持ったりと変わってきている部分もあります。

今までより愛着が出てきたところで更に大切に使ってあげるためにこちらの記事で機械を長持ちされる方法も読んでみてください。
また仕組みについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

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